本記事で分かること

ランニング専門パーソナルトレーナーの三井が解説します。
勤務地:マタドールパーソナルトレーニングジム

「最近、走るとすぐに息が上がる…」「なんだか疲れが取れない」——そんな違和感を感じながらも、トレーニングのせいだと見過ごしていませんか?実はそれ、スポーツ貧血かもしれません。
特に頑張り屋のあなたほど、見えない疲れや栄養の不足に気づきにくく、自分を責めてしまうこともあるでしょう。でも、それはあなたが弱いのではなく、体からの大切なサインなのです。
このブログでは、小学生にもわかる言葉で、スポーツ貧血の原因や正しい対処法、日常で気をつけたいポイントまでをわかりやすく解説しています。無理せず、パフォーマンスを下げることなく、**「元気に動ける体」**を取り戻すヒントがきっと見つかります。
大切なのは、「がんばること」ではなく「正しくケアすること」。その第一歩を、一緒に踏み出しませんか?
スポーツ貧血とは?基礎知識
スポーツ貧血とは、運動をよくする人がなりやすい、体の中の鉄分が少なくなることで起こる貧血のことです。
鉄分は、体に酸素を運ぶ「ヘモグロビン」をつくる材料で、これが足りないと体がうまく動かなくなります。
たとえば、長い距離を走っているのに、すぐに疲れてしまうときは、スポーツ貧血かもしれません。
スポーツをがんばる人こそ気をつけたい体のサインです。
鉄の役割と貧血が起こる仕組み
鉄は、体に酸素を運ぶためにとても大切な働きをしています。
血の中には「ヘモグロビン」という成分があり、このヘモグロビンをつくるのに鉄が必要です。
たとえば、鉄が足りないと、車にガソリンが入っていないのと同じで、元気に動けなくなります。
だから鉄が少なくなると、貧血になって疲れやすくなるのです。
スポーツ貧血の主な症状(疲労感、息切れ、集中力低下など)
スポーツ貧血になると、体や頭がうまく働かなくなります。
鉄分が足りないと体に酸素が行きわたらず、いつもより早く疲れたり、すぐに息が切れたりします。
たとえば、ふだんは平気なかけっこで、途中でヘトヘトになったり、授業中にぼんやりしたりすることがあります。
こうした変化に気づいたら、体からの「がんばりすぎ」のサインかもしれません。
パフォーマンス低下との関係
スポーツ貧血になると、がんばっても思うような力が出せなくなります。
鉄分が少ないと、筋肉に酸素が届きにくくなり、スタミナやスピードが下がってしまいます(日本臨床スポーツ医学会などもこれを指摘)。
たとえば、練習をしているのにタイムが伸びない、試合で集中できないときは、体の中で酸素が足りていない可能性があります。
体の調子が悪いときは、トレーニングだけでなく内側のケアも大切です。
定期的な血液検査の重要性
スポーツをがんばる人は、血液検査で体の中の状態を知ることが大切です。
血液を調べることで、鉄が足りているかどうかや、貧血になっていないかが数字でわかります。
たとえば、車の点検のように、体もときどきチェックすることで、トラブルを早めに防ぐことができます。
元気に運動を続けるために、自分の体の中も気にかける習慣をつけましょう。
食事内容の見直しと栄養バランス
スポーツ貧血を防ぐには、鉄をはじめとした栄養をしっかりとる食事が大切です。
特に成長期の子どもや運動をがんばっている人は、鉄がたくさん使われるので、毎日の食事での工夫が必要です。
たとえば、次のような食べ物を意識してとると効果的です
栄養素 | 食べ物の例 | ポイント |
---|---|---|
鉄 | レバー、赤身の肉、ひじき | 体に酸素を運ぶのに必要 |
ビタミンC | みかん、ブロッコリー | 鉄の吸収を助けてくれる |
タンパク質 | 魚、卵、大豆製品 | ヘモグロビンなどを作る材料になる |
バランスの良い食事が、体の中から強くする第一歩です。
鉄分を多く含む食品の摂取(レバー、赤身肉、魚など)
貧血をふせぐためには、鉄分を多くふくむ食べ物を毎日しっかりとることが大切です。
鉄は、体に酸素を運ぶ「ヘモグロビン」を作る材料なので、足りなくなると疲れやすくなります(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」でも重要性が強調されています)。
たとえば、鉄が多い食べ物には次のようなものがあります:
食べ物 | 鉄のはたらき |
---|---|
レバー | 鉄の量がとても多い |
赤身の肉 | スポーツ選手におすすめ |
カツオやマグロ | 魚からも効率よくとれる |
鉄分をしっかりとることで、毎日の運動も元気にがんばれる体をつくれます。
非ヘム鉄の吸収を助ける栄養素(ビタミンC、たんぱく質)の同時摂取
野菜などにふくまれる「非ヘム鉄」は、そのままだと体に吸収されにくいので、ビタミンCやたんぱく質といっしょに食べると効率がよくなります。
ビタミンCは鉄を体に入りやすくする手助けをしてくれるからです。農林水産省も「鉄とビタミンCを組み合わせてとると吸収率が高まる」と紹介しています。
たとえば、こんな組み合わせがおすすめです:
鉄の食べ物(非ヘム鉄) | 相性のよい食べ物(吸収を助ける) |
---|---|
ほうれん草 | オレンジ、いちごなどビタミンCが多い果物 |
納豆、豆腐 | 鶏肉、魚、卵などのたんぱく質 |
食べ合わせを少し工夫するだけで、鉄をもっと上手にとり入れられます。
鉄剤やサプリメントの適切な使用方法
食事だけで足りないときは、鉄のサプリメントや薬を使うこともありますが、使い方には注意が必要です。
鉄をとりすぎると、お腹が痛くなったり、気持ち悪くなったりすることもあるからです。病院の先生に相談して、正しい量やタイミングを守ることが大切です。
たとえば、風邪薬のように「決まった時間に」「決まった量だけ」使うことがポイントです。
無理に自分で決めず、大人や先生といっしょに使うのが安心です
食事中の緑茶やコーヒーの摂取を控える
鉄分をしっかり体に取り入れるためには、ごはんのときに緑茶やコーヒーを飲まないようにすると良いです。
これらの飲みものには「タンニン」という成分があり、鉄分の吸収をジャマしてしまうことがあるからです(※厚生労働省 e-ヘルスネット 参照)。
たとえば、せっかく鉄分たっぷりのレバーを食べても、お茶と一緒だと体に入る量が少なくなることもあります。
水や麦茶など、吸収のジャマをしない飲みものを選ぶと安心です。
過度なトレーニングによる溶血性貧血のリスク
一生けんめい走ったりジャンプしたりしすぎると、血の中の赤血球がこわれてしまうことがあります。
これを「溶血(ようけつ)性貧血」といって、特に長距離ランナーやバスケット選手などに見られることがあります(※日本臨床スポーツ医学会などが報告)。
くつの中で足を何回も強く打ちつけることで、赤血球がこわれて鉄分が減ってしまうのです。
がんばりすぎず、体を休ませる時間もとても大切です。
女性特有の月経による鉄分損失への対応
女の子は月に一度「月経」が始まると、血といっしょに鉄分も少しずつ体から出ていってしまいます。
日本女子体育大学の調査でも、スポーツをする女子中高生の多くが貧血ぎみという結果が出ています。
水をこぼしたら足すように、鉄分も食べ物やサプリでしっかり補うことが大事です。
体の変化に合わせたケアで、元気にスポーツを続けましょう。
貧血に関するFAQ
Q.鉄分はサプリメントで補えば十分ですか?
A.サプリだけにたよるのではなく、ふだんの食事も大切にすることがポイントです。
サプリメントは足りない鉄分を補う道具ですが、食べ物にふくまれるビタミンやたんぱく質といっしょにとることで、鉄分のはたらきがもっとよくなります。
たとえば、サプリは「道具」、食事は「燃料」。車にガソリン(燃料)を入れずにタイヤだけ変えても、走る力は出ませんよね。
だからこそ、食事とサプリをバランスよく使うことが一番大切です。
Q.どのくらいの頻度で血液検査を受けるべきですか?
A.鉄分のようすを知るには、少なくとも年に1〜2回の血液検査がおすすめです。
とくにスポーツをがんばっている人や体のだるさを感じる人は、鉄分が足りているかチェックすることが大切です。
たとえば、車もときどき点検しないと、知らないうちにどこかこわれてしまいますよね。体もそれと同じです。
だから、元気に動くためにも、自分の体の中をときどき見てあげましょう。
まとめ
日々の食事と適切なトレーニングで健康な体を維持しましょう
体を元気に保つには、バランスのよい食事と、がんばりすぎない練習のくり返しが大切です。
食べ物からは、筋肉や血のもとになる栄養がとれます。練習だけしても、材料(栄養)が足りなければ、強い体はつくれません。
たとえば、スポンジケーキも材料がそろっていないとふくらみませんよね。体も同じです。
だから、毎日の食事とちょうどいい練習をセットで考えることが、元気に動ける体づくりにつながります。