怪我をしやすい方、競技力を向上させたい方スポーツをする上で太ももは大切です。太ももを鍛えるもしくは上手に使えるようになることで怪我予防、競技力向上が期待できます。本コラムはそんな方々のサポートになれればなと思います。
本記事で分かること
- 太もも
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
- まとめ

パーソナルトレーナーの高橋が解説します。
勤務地:マタドールパーソナルトレーニングジム
太もも
太ももとは股関節から膝関節の間の部位のことを言います。
役割:体重を支える、脚を動かす、身体を支える
特徴:大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋、縫工筋などの様々な筋肉が存在します。太ももはよく肉離れをしやすい箇所です。ハムストリングスの硬さや拮抗筋(大腿四頭筋)のバランスの悪さなどが主な原因です。また股関節から太ももにかけて大腿動脈と大腿静脈が存在します。大腿動脈は酸素・栄養素の供給、運動時には血管拡張と血流が増大します。太ももに脂肪がつきやすいのは栄養素の供給がされているからです。しかし大腿静脈は代謝産物・CO₂を筋から回収、運動時には筋ポンプによる静脈還流が活性化されます。よって老廃物や乳酸が除去されていきます。

太もものトレーニングはスクワットやレッグプレスが人気であるためハムストリングスへのアプローチが弱くなってしまいます。ハムストリングスの筋力より大腿四頭筋の筋力が強い場合、前十字靭帯(ACL)損傷のリスクが上がります。特にアスリートの場合は怪我のリスクが高まります。

そこでハムストリングスと大腿四頭筋の健康的なバランス基準というものがありH:Q比(Hamstring to Quadriceps ratio)と言います!これはハムストリングスの筋力を大腿四頭筋の筋力で割った数値のことです。
計測方法もあるので最後に計測方法をお伝えします!
大腿四頭筋
大腿四頭筋とは大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋の4つの筋から構成されています。主に膝を伸ばす時に活躍します!車でイメージするとブレーキです。

サッカー、野球、バレーボール、テニス、バドミントン、ハンドボールのスポーツの動作シーンで大腿四頭筋を使う場面を紹介していきます。
サッカー:キック、バランス、スピード減速
野球:地面反力の伝達、踏み込み
バレーボール:ジャンプ、リバウンド力
テニス:低姿勢維持、加速制御
バドミントン:素早いステップ、スマッシュ動作
ハンドボール:シュートジャンプ、フィジカル接触
上記の様に止まる、減速、力を溜める、飛ぶなどのシーンです。
トレーニング
バックスクワット、ブルガリアンスクワット、ジャンプスクワット、スプリットスクワット、ジャンピングランジ etc…
ハムストリングス
ハムストリングスとは大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の3つの筋から構成されています。主に股間節を伸ばす時、膝関節を曲げる時に活躍します!車でイメージするとアクセルです。

サッカー、野球、バレーボール、テニス、バドミントン、ハンドボールのスポーツの動作シーンで大腿四頭筋を使う場面を紹介していきます。
サッカー:ダッシュ、方向転換、膝安定
野球:走塁、ピッチング動作の安定
バレーボール:着地制御、横移動
テニス:フットワーク、方向転換
バドミントン:重心移動、バランス制御
ハンドボール:着地安定、スプリント動作
上記の様に加速、方向転換、動作移動などのシーンです。
トレーニング
ルーマニアンリフト、ノルディックハムストリングス、ヒップスラスト、ケトルベルスイング、シングルルーマニアンデットリフト、シングルレッグヒップスラスト etc…
まとめ
理想的なH:Q比は0.6~0.8でアスリートでは0.75以上です。計算方法は例えば1RMテストの場合レッグカールが60kg、レッグエクステンションが100kgだとするとH:Q比=60/100=0.6となります。
H:Q比の測定方法について利用目的別に4つ解説していきたいと思います。
1 等速性筋力装置(アイソキネティック測定)
等速性筋力測定装置とはBiodex,Cybexなどのことを示します。

この方法は最も正確にかつ信頼性が高いのでリハビリ管理やトップアスリートの分析のために使われます。測定可能な事はハムストリングスと大腿四頭筋の最大筋力、H:Q比、関節角速度ごとの筋力特性、また等速性筋力だけでなく、コンセントリック/エキセントリック筋力も測定可能です。
2 1RMテスト(1回最大挙上重量)
計測方法はレッグカールやレッグエクステンションなどのマシンを使って、1回の最大挙上重量(1RM)を測定します。この方法はジムやトレーニング施設で実施可能でお手軽ですが、正確な筋力葉測定不可能、装置やフォームによって数値に誤差が出ます。トレーニング効果の確認のために使用する分には十分でしょう!
3 体重比でのジャンプ・テスト(間接評価)
計測方法は垂直飛び、カウンタームーブメントジャンプ、片脚ジャンプでこれらの跳躍高や滞空時間から大腿四頭筋とハムストリングスの出力バランスを間接的に評価します。実用的でスポーツパフォーマンスに直結し現場で簡易的に実施可能ですが、正確な筋力は測定不可能、フォーム/タイミングに影響されやすいです。スポーツ能力・動作評価のために使用することをお勧めします!
4 自宅での簡易チェック
測定方法はハムストリングスの場合、シングルレッグヒップリフト回数テストです。シングルレッグヒップリフト限界まで行いその回数でハムストリングスの筋持久力が測定可能です!続いて大腿四頭筋の場合、壁スクワットタイムテストです。壁に背を付け、90度のスクワット姿勢を限界まで維持し続けられる時間で大腿四頭筋の耐久力が測定可能です!本コラムを見ていただいた方ぜひ実施してみてください!
ご自身の目的に合った測定をし、怪我の予防や競技力向上を目指していきましょう‼